辻野商店は、地域農業の発展に貢献することを経営理念として掲げています。
農産物の集荷など営農に関わることへのお力添えはもちろんのこと、農業者の皆さまの要望にできる限り応えていくことも大切だと考えています。
その要望の一つに、「自分で生産した大麦を使ってビールを製造したい」というものがありました。
詳しく伺うと、生産した大麦をビールに使用することで、小麦に加えて大麦の生産も可能にし、地域の発展につなげたいという想いからでした。
しかし当初は、大麦の生産もビール製造に関する知識も全くない状態で、なかなかお話が前に進まない状況でした。
種子の確保から始まり、生産できてもビール用に利用するには麦芽加工が必要であり、その実現が大きな壁となっていました。
それでも、生産者の方の熱意に動かされ、さまざまな人たちが協力してくださるようになりました。
大麦の種子を手配して栽培が可能となり、ビール製造に携わる方も加わり、大麦から麦芽に加工することも実現しました。
そして先日、ついに「完成した」との連絡をいただき、当初思い描いていた「自分が生産した大麦を使ったビール製造」が形になったのです。
そのビールはまだ一般販売には至っていませんが、新しい事業の一つとして育っていくものと思います。
振り返ると、大麦生産のお話をいただいた当初、私はリスクやマイナス面ばかりを考えてしまいました。
経費が必要以上にかかりそうなことや、余剰在庫を抱えることばかりを連想し、正直なところ前に進めることはできませんでした。
しかし、いろいろな方との出会いや協力によって状況は大きく変わりました。
経費を抑えられる仕組みが整い、余剰在庫を抱える心配もなくなり、その不安は次第に払拭されていったのです。
人を動かす原動力となった生産者の方の熱意と情熱は、私自身にとっても大きな学びであり、今後に生かしていきたいと考えています。
今後も、生産者の皆さまと関わる中で、会社経営に関わることはもちろん、新しい取り組みが生まれることもあると思います。
すべてに応えられるわけではありませんが、少しでもお力になれるよう努めてまいります。